君望涼宮茜SS『and then(仮)』…ん〜と1-5?

「そういうことだったのね、あ・か・ね?」
「……どうしてここに……?」
「廊下歩いてたら茜がバッグ抱えて教室出て行くのが見えたの。
今日はなんだか様子がおかしかったし、部室かプールのほうにでも行くならともかく
全然違う方向に行っちゃうんだもん。走っていった方向にあるのはここくらいだから
ひょっとしたら、って思って」
「茜のお友達?」
「あ、はい。ええと……」
孝之さんの言葉に私が答えるよりも早く、
「はじめまして、茜の友達の榊千鶴といいます」
「ああ、君が榊さんか。はじめまして、鳴海孝之です。
榊さんのことは茜に聞いてます。いつも茜が世話になってます」
「た、孝之さん!?」
「えと…あの……鳴海…さんは茜の……?」
「茜は……オレの大切なひと…です。」
「っ!?」
顔が火照ったのが自分でも分かる。
孝之さんの顔も少し赤いが千鶴の顔も赤い。まさかこんなにはっきりと答えるとは
思っていなかったんだろう。暫く唖然とした様子だったが立ち直ったらしい。
私のほうを見て、言った。
「茜、水臭いじゃない。私にまで恋人のこと内緒にしておくなんて」
「だって………」
言葉に詰まる私を見て千鶴は何か考えているようだったがやがて薄く笑みを浮かべて呟いた。
「あー……アレってそういうことだったのね……」
………?
千鶴が何を言おうとしてるのか分からず何となく孝之さんを見た。
「…?」
孝之さんも不思議そうな顔をして私を見返す。
「鳴海さん、もう少し茜の事優しく扱ってあげてくださいね」
「「え?」」
孝之さんと私の声がハモった。
「それとも優しく扱ってるからああなったのかな?………」
「ちょっと、千鶴!?」
「この間部室に迎えにいったとき茜まだ着替えてたじゃない。
……見ちゃったのよね〜くっきり跡付いてるの……」
「……………え?」
数日前のことが頭をよぎる。
「……………」
孝之さんはといえば気づいているのかいないのか沈黙を続けている。
「もう……だからあんなに強くしないでって…………」
そこまで言った私の目に映ったものは、
『あ〜あ』といった感じで失笑している孝之さんと、
『してやったり!』という顔をした千鶴だった………
嵌められた……ようやく千鶴の狙いに気づいたけどもう遅い…
「あ………」
「ん?何をそんなに強くされたの?あ・か・ね?」
「ぅ………ぁぅ……はう……」
私は今きっと耳まで真っ赤だろう………
「ふぅん……そういう仲なのね〜…」
「ぅぅぅぅぅ………」
ずっと前にもこんなことがあった。もっともその時の相手は孝之さんだったけど。
あの時は確か…孝之さんをバッグで滅多打ちにしたんだっけ。
千鶴も同じ目にあわせようか…でもそんなところ孝之さんに見られるのはちょっと……
でもこのままにしておくのは腹の虫が………