PSPに関する記事「日経ビジネス2005.1.24号」を読んでみました。

記事は以下の書き出しで始まります。
『これが、私が考えたデザインだ。使い勝手についていろいろ言う人もいるかも
しれない。それは対応するゲームソフトを作る会社や購入者が、この仕様に合わせて
もらうしかない。』*1


この書き出しの後、本文では、PSPに、各種の不具合があるという指摘がネット上で
書かれており、本文の筆者も、そのうちの1つを経験した、と書かれています。
その不具合は、本体右の操作ボタンのうち、左側のボタン(つまり□ボタン)を
押しても動作しないことがある、と言うものです。
また、ボタンがゲーム機に埋もれて元に戻らなくなることもあるとし、これに関しては
SCEも一部の金型の不具合と認め、修理に応じたとしています。


では初めの問題、ボタンを押しても画面が特に反応しない点に関してはどうなのか。
これはSCEは不具合ではない、としています。これに関して、同様に久多良木社長は
『使用する液晶画面はこれ以上小さくしたくないし、PSP本体もこれ以上大きく
したくなかった。ボタン位置も狙ったもの。それが仕様。これは僕が作ったもので、
そういう仕様にしている。明確な意思を持っているのであって、間違ったわけ
ではない。世界で一番美しいものを作ったと思う。著名建築家が書いた図面に対して
門の位置がおかしいと難癖をつける人はいない。それと同じこと』*2


ここで問題が出てきます。つまり久多良木社長の言わんとしているところと、
ユーザー及び本文の筆者が求めているところ、つまり今回の問題点が
本当に同じなのかということです。
そもそも何故このような問題が出たのか、これについて雑誌に掲載されている
写真を元に、簡単に図を書いて説明します。
私は絵心がないので、分かりにくい、と言う方はPSのコントローラーを手にとって
貰うと話が早いと思います。

①   △          ② △
    □ ○           □ ○
    ×             ×

PSP本体及びPS、PS2等のキーの配置は①のように、
左右対称に配置されています。それに対し、雑誌内に掲載されている写真では、
本体内部のキー検知部分のうち□キーの検知部分が②のように、
若干右にずれている、つまり左右対称ではないわけです。
この結果どういうことがおきるか、考えるまでもありません。
何らかの処置が行われていなければ□キーの左側を押しても動作しないことがある。
つまり今回問題となっている症状のうちの1つが発生するわけです。


今回ユーザーが求めていること、問題となっているところはデザインのことでは
全くありません。本体の仕様、デザインに関しては、それこそ久多良木社長の
言うとおり、メーカーやデザイナーが決めることです。
こちらが文句を言う筋合いもありません。イヤなら買わなければいいだけのことですから。*3
ですが今回、問題となっているのは久多良木社長の発言を借りれば、
「門を使おうとしたら『これはイミテーションだから使えない。
他の入り口を使え』といわれた」
「門を開けたら閉まらなくなってしまった」
ということであって、問題となるのはデザインではなく機能のことです。
PSPというのは絵画や美術品ではなくて、使う物である以上、その機能を果たすことは、
その物の最低限の条件であり、その上で、デザインというのが求められるはずです。
建築物を作るならその建築物がその建造の目的、内容に沿ったものであるか否か。
それがまず求められることであり、やはり今回の発言は何かズレている、
それが率直な感想です。*4

*1:久多良木社長の言葉をそのまま雑誌本文より引用

*2:同じく本文より引用

*3:仕様と異なる内容であったり仕様を偽ってた場合は勿論別です。後は使用により、人体に直接的に害となるとか

*4:今回のこの日記に関してはあくまでも私が雑誌記事を読んだ感想です。当然この内容には私の恣意的な意見が入ってる以上、気になったという方は、実際に手にとって読まれることをお勧めします。