鐘ノ音ダイナティック-グリグリ- 感想

さて、このゲームですが、まずタイトルを見ていただければ分かる通り
グリーングリーン』の名前を冠していません。これが全てを物語っている気がします。


グリーングリーン』というゲームを頭に浮かべたときどんなことが浮かぶでしょうか?
私の中でのそれは『濃すぎる脇役勢』だったり、キャラ毎に用意されたエンディング曲だったりします。
ですがこのゲーム………その両方ともないんですよね………………


まずサブキャラ勢なんですが、影が薄いです。
で、何が原因かというと世界設定とあとはヒロインの変化ではないかと私は思っています。
今回の舞台はグリーングリーン1の世界、ただし1のヒロインの代わりに別のヒロインが登場する
1種のパラレルワールドです。


1や3のヒロイン達は各キャラそれぞれが、多かれ少なかれ3馬鹿と関わっていきます。
ですが今作ではそれがほとんどありません。
今作のオリジナルにあたるPS2版では、3馬鹿達を初めとする「鐘の音学園」という環境との
順応とかそう言った物が描かれていたんですが、
今作ではヒロイン勢は何故かそろいもそろって最初から祐介に対して好意を抱いていると設定と、
またシナリオ自体が単純かつ中身の薄いシナリオに変化してしまったこともあり、
3馬鹿との絡みは全くと言っていいほど無くなってしまいました。


ヒロインとの関わりが無くなってしまった以上、サブキャラが前面に出てくるためには
クラスもしくは部屋などの各キャラ固有の場所しか無いんですが、
「小みどり」は「千歳みどり」が登場しないことから
(もしくはメーカー側で新しくネタ展開させる気が無かったか)
クラスは前述のようにヒロインが関わってこず、またヒロイン以外で
キャラクターとして登場し続けるのは春乃ひとりになってしまった結果、
パワーバランスが崩れて仕舞ったことを受け、活躍の場を奪われてしまいました。


結果としてこの作品は『グリーングリーン』としては、非常に灰汁の弱いものになってしまった
そう言わざるを得ないと思います。


次にエンディング曲、これも『カナリア』から続いていた
各キャラ毎のエンディング曲はなくなってしまい共通のエンディング曲1曲のみになりました。
これも元々のPS2版ではそれぞれに曲があっただけに残念です。


シナリオにせよ曲にせよきちんとした物があったというのにそれを変更し、
あげくに完成したゲーム中には選択肢すらないという始末。
何を考えて作ったのか、というかゲームを作る気はなかったのではと思わずにはいられません。


さて、この作品(最早ゲームとは呼びません)ですが、オフィシャルサイトを見て頂くと分かるとおり、
今作のヒロイン4人と結ばれなかった場合に限り、
グリーングリーン』のヒロイン達とのミニミニシナリオがあります。
とは言っても、このミニミニシナリオは全て鐘ノ音ダイナティックに続く話なので、
1で綴られた世界とは全く違う世界での違う物語です。
で、こちらの出来なんですが―――ヒロインによります。
まずみどりに関してはよほどシナリオ担当に嫌われているのかどうなのかは
知りませんが、扱いがいまいちです。


若葉と千種、普通です。いや、好きなんですけどね。あとのふたりのインパクトが……


次双葉、えーと………思い切りベタなツンデレ化してます。
なにしろ開口一番に「ア……アンタなんか好きじゃないんだからねっ!!」ですからw 
ていうかこんな萌えキャラでしたっけこいつ?
彼女に関してはなんて言うか他のキャラ(主にみどり)に比べて愛されてるなぁ…と。
他のヒロインに関しては全てこれからの物語なのに対し、
彼女だけは本編(3)でもそして今回も完結した物語になってるんですよね。


最後、早苗です。私は上でこう書きました。
「他のヒロインに関しては全てこれからの物語〜」と。
彼女と祐介の物語もまだまだこれからも続いていく物語になっています。
グリーングリーン』とも、同PS2版とも異なる早苗のアナザーエンド。
こういう言い方はアレなんですが、『鐘ノ音ダイナティック』のどのヒロインよりも
彼女とそして1のヒロイン勢たちのミニミニシナリオの方が心に残りました。
『鐘ノ音ダイナティック』ではなくこちらにお金を出したと思えばまぁ…満足かな。と。