メタルギア ソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット(ASIN:B0009RQKUI)

プレイ時間は凡そ25時間強、うちムービーが15時間強……
メタルギア完結編ということで説明が増えるのはやむなしとも言えますが、
それにしても………という気がします。

ストーリー

このシナリオ書くのにどれくらいかかったかは知りませんが、
各章のシナリオが一貫していない印象を受けました。


たとえば、敵に銃で撃たれた同じ部隊の隊員達が

「俺達…いいコンビだったよな」
「ああ」

なんて会話を残したら…どういう印象を受けるでしょうか。
おそらくは、これでこと切れたんだろうと考えると思います。
が、この方たちは後にに元気に復帰します。
これは一例ですが、演出が下手というか、
無駄にあちらこちらで映像美を見せたいのか矢鱈滅多に種を仕込んで
後にまとめて反故にしてるんで、非常にシナリオがちぐはぐです。


また、映像は確かにきれいですが、その表現があいまいです。
テキストやボイスだけではなく、映像で細かい機微とかを表現するという作業は、
これまでのゲーム制作の範囲を超えた新しい才能と努力が必要な分野だと思います。
アニメのように様式が確立されているわけでも、役者が演じてくれるわけでもないですから。


これも例を挙げますと、
ターゲットの資料をスネークに見せる。
スネークはそれを読もうとするがうまく読むことができず、
それを見た相手はショックを受ける、というシーンがあります。
スネークが資料をうまく読めない理由は老眼です。
それをテキストにしてしまうことは難しいし、言葉に出すことはできない。
では実際にどうやって老眼を知らない人に対してそれを表現するか。
そういうのを補完するのが非常に今は難しくなってるんですよね。
昔のように補完前提であれば、ある程度ちぐはぐなセリフがあったとしても
それは必要なこととして許されますが、
映像にせよなんにしてもリアルに近づく結果として、
それにそぐわないものは排除されざるを得ないわけですから。


今作の発売にあわせ小説版が出てるんですが、
ストーリーを認識するだけなら、そちらのほうがよく出来てると思いました。

システム

今回はしゃがむ、若しくは寝転がることでHPが無限に回復するようになったこと、
またオートで狙いを定めることができるようになったことから、
いわゆる「メタルギア」という行動を必ずしもしなくてもよくなったというのがまず一つ。


あとは、物語の根底部分がシステムに全く活かされていない点でしょうが。
主人公スネークは今作において老人であり、
また、物語の序盤において、明確にその終わりを告げられます。
中盤には大けがを負います。
ただそれがゲーム中にどんな影響を与えるかというと、それはシナリオのみです。
しぐさに老人のそれを見せることはあっても、
パワードスーツをつけたスネークはこれまでと全く同じ動きをこなし、
発作が起きるのはムービー中のみであり、
また大けがはムービーの中でただ痛々しいシーンを見せるだけです。


活動限界を設ける。特定のアイテムを一定のタイミングで使用せざるを得ず、
なおかつ一定回数以上使えば強制的にゲームオーバーになる。
なんでもいいんです、何かなかったのかと。


このゲームで何を見せたかったのか。
メタルギアという物語の区切りなのか、それとも映像作品なのか。
本当にゲームを見せようと、作ろうとしていたのか。
どこかそのあたりの思惑が乖離しているのではないかというのが一周目を終えての感想です。

終わりに

今回思いきり非難記事に終始しました。
実際書かなかった箇所での不満点はまだまだありますし、
逆に面白かった箇所もあります。(現に今二週目をプレイしているわけですし)
そういった点で偏った内容になっているのは承知していますし、
他の方には全く異なった感想を持った人もいると思います。
お気を悪くされた方がいたら、お詫びします。