雨格子の館 一柳和、最初の受難(asin:B00118QGS0)

と、言う訳で……今日は『雨格子の館』の感想などを。
もう発売から2年が経ってる作品ですし、思い切り言っても良いよね……と。
以下若干のネタバレと愚痴が含まれているので注意。

ストーリー

簡単に言うと、道に迷った主人公がたどり着いたのは
とあるドラマ撮影のために役者達が集まっている古い洋館。
役者達は、大人気ながら素性が全く知れていない脚本家によって集められた
ほぼ無名で、また互いにほとんど面識の無いもの同士。
翌朝そこで、ひとりの男が殺害され……と言う内容。
で、この事件は「見立て殺人」であり、
この内容を解き明かし、被害者になる予定のものを守れば、次の殺人を防ぐことが出来る筈だから、
主人公は、「見立て」を解き明かし被害者になる人を護ろうという話。


とまぁここまで書きましたが……なんて言うかツッコミどころ満載と言いますか。
朝の段階で、殺人に遭う予定の人が見立てによって決まっていて、それを防ぐことが出来る。
防ぐことに成功した人は翌日以降も生き残る……のは面白いと思うんですが、
逆に言うとそれだけといいますか生き残ったところで翌日以降に特に大活躍する訳ではありません。
基本決まった場所で引き籠もる位です。予め決まった数のやりとりだけ聞いていれば
ランク上げ以上の役割は果たしません。


ただ、ランクを上げないと最期はバッドエンドに近いエンドになりますし、
全員助けたとしても、その後のミニゲーム(みたいなもの)をクリアしないと
やはりバッドエンドになるんですが…………


と言いますかそもそも「見立て殺人」って何のためにやるんだって話になります。
「見立て殺人」って例えば7つ人形があって一個ずつ消えていく。
翌日になると誰か死んでいてそれと同じように人形も……のように、
誰が死んでいくか、どういう風に消えるか分からないが、
人形の個体数が登場人物と同じである以上、死ぬ数は……のような形で恐怖を煽る。
もしくはそれを逆手に取って事件を起こしていくのが
本道だと思うんですがターゲットも死因も『事前』に『決まった場所』で明かしてどうすんだって言う。
特に今回の事件は内部犯である可能性が高いと言うことになると、じゃあそれ見張れよっていう……

システム

上のように「見立て」が提示された後は、「見立て」を解く。
そして、「見立て殺人」に使用される道具を館中から探し、被害者になるかもしれない人に告げ、
同時に全体の犯人を捜すべく、生存している館内の人物に話を聞くという作業となります。
これには各日毎にゲージが用意され、行動するたびにゲージが減少すると言うシステムとなっており
総当りすることは出来ません。


で、そうなってくると如何に効率的に情報の整理・入手を行っていくかと言うことになるんですが、
運よくその日の「見立て殺人」に使用されるアイテムに行き当たればそのアイテムは消えますが、
それ以外のアイテムはファイリングはされても、何処にあったかといった情報は保存されません。
何を隠せばいいか、何を隠すべきか。
どういう情報が集まっているかという情報が基本的にシステムの中で表示されず、
定量保存されるテキストログの履歴に頼らざるを得ないので
不便きわまりない状況であり攻略サイトなどを利用せずに事件を解こうとした場合紙とペンが無いと無理です。

総評

辛い。
所々でシステムの不自由さが目に余るのと、
最後の最後、事件を完全に解くためには推理とはまた関係のない暗号解きに推移したりと
正直何をやりたいのか理解に苦しむところが多々。
続編も出てるくらいですからキャラも立ってると思いますし、
上にも書きましたが死ぬはずの人を助ける人が出来るとかそう言うシステムはいいとして、
じゃあ生き残らせたらどうなるのよというか全体的に何か考えて欲しい……というか。
まぁ一番考えるべきは『流行り神』でさんざん懲りただろうに
何でこれ買ったんだって言う私の思考回路ですが…………