『and then』涼宮茜SS1-9

孝之さんが見えなくなった頃、千鶴が言った。
「鳴海さん……優しそうな人だね…」
「うん……いろんなことがあっていっぱい傷ついて…
私の性で…大切な人を傷つけて、孝之さん自身もいっぱいいっぱい傷ついて……
それでも私を…見てくれてる、傍にいてくれてる……私の…一番大切な人……」
「そっか……」
「…ねぇ、千鶴」
「…ん?」
「…今まで話せなくてごめんね……聞いてくれる?
すごく…長くなると思うけど……話しておきたいの」
「うん…わかった」
微かに学校のほうから予鈴が鳴るのが聞こえる。
私達は木の下に並んで腰を下ろした。


「千鶴…私の姉さんのこと……話したよね?」
「ええ…茜が中学の頃事故に遭って、今年の夏までずっと眠り続けてたっていう……」
「姉さんが事故にあったのは3年前の夏の終わり……
その頃私は…姉さんのことを『お姉ちゃん』……
そして……孝之さんのこと……『お兄ちゃん』って呼んでた………」
「え?だって鳴海さん……」
「孝之さんね……姉さんの……恋人だったの………」
「え………」